概要
暗号資産の税制は法人と個人共に日本では世界トップクラスに高いです。その改善提案はあるものの岸田政権が増税路線で減税はほとんど検討しない。
記事を書いている現在は令和6年で、ちょっと前の話になるのですが税制改正に関する今後の展望と最後に個人的な感情が入ったまとめをしていきます。
目次
法人と個人の税制改正提案と結果
暗号資産の税制は法人と個人が違います。法人の場合は決算期ごとに損益を出して利益が出れば支払います。個人の場合は決済した時に税金を払うことになります。それを踏まえて法人と個人の税制改正の概要を見ていきます。
法人の税制改正概要
提案内容 | 結果 |
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トークンを発行した法人が継続保有するトークンを法人税の期末時価評価課税の対象から除外 | トークン発行した法人が継続保有するトークンを法人税の期末時価評価課税の対象から除外する旨の措置を講ずるとの方針 |
他社がトークンを発行し第三者が保有する短期売買目的でないトークンを期末時価評価の対象外にする | 他社が発行するトークンのうち短期売買目的でないものを期末時価評価課税から除外する措置については上記大綱に盛り込まれず、令和5年度税制改正の対象外 |
個人(個人事業主含む)の税制改正概要
提案内容 | 結果 |
---|---|
暗号資産の取引により生じた損益について 20%の税率による申告分離課税の対象とする | 令和5年度税制改正の対象外 |
暗号資産同士の交換による損益を非課税 | 令和5年度税制改正の対象外 |
今現状の個人の暗号資産の税金は雑所得です。その雑所得がいくらかかるのか表にしてあるので見ていきます。
現状の雑所得
課税される所得金額 | 所得税率 | 住民税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 10% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 10% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 10% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 10% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 10% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 10% | 4,796,000円 |
税制改正における効果
法人がイーサリアムを購入して持っていると期末時価評価課税の対象になり税金を払う必要があり、変更はありません。あくまで自社が発行したトークンのみが課税の対象外になるだけです
今回の税制改正で私の知る限り、渡辺創太氏が創業したAster Network1社のみ救済しただけでトークンを発行しない法人は何も救われない期末時価評価課税がかかるままになっている。今のままでは新規参入して事業をできる状態ではなく阻害要因であるのは間違いないです。
そもそも提案の仕方が自社が発行したトークンに限られています。渡辺創太氏は政府へのロビー活動がうまく行ったようでこれに関しては良いのですが、他の救済措置が一切ない岸田政権下では減税は不可能に近いのかなという印象です。
個人の税制については一切の変更はなかったですね。暗号資産デリバティブ(レバレッジや先物)の税制についても追加で申告分離課税にしてもらいたいです
気になるは暗号資産を持った初心者の人は法人と個人ごっちゃになってるようでXのポストを見ると期末時価評価課税を払わないといけないと焦っている投稿をよく見ます。個人と法人は税制は別です。
Web3ホワイトペーパー中身(2023年4月発行)
2. web3の推進に向けてただちに対処すべき論点
(2)税制改正
(2-1) トークンによる資金調達を妨げない税制改正
ア.問題の所在
・NFT ホワイトペーパーにおいて、ブロックチェーンエコノミーに適した税制改正として、①発行した法人が継続保有するトークンを法人税の期末時価評価課税の対象から除外すべき旨の提言を行った。さらに、自由民主党デジタル社会推進本部の令和4年11月10日付「web3 関連税制に関する緊急提言」において、①に加えて、②他社が発行し第三者が保有する短期売買目的でないトークンを期末時価評価の対象外にする旨の提言を行った。
・これらの提言の結果、自由民主党及び公明党の和5年度税制改正大綱は、令和5年度税制改正において、①の発行した法人が継続保有するトークンを法人税の期末時価評価課税の対象から除外する旨の措置を講ずるとの方針を示すに至り、一定の前進を見た。
・一方、②の他社が発行するトークンのうち短期売買目的でないものを期末時価評価課税から除外する措置については上記大綱に盛り込まれず、令和5年度税制改正の対象外とされた。
・日本におけるブロックチェーン関連事業の起業を促進するためには、トークンへの投資を容易にする環境整備が必要である。しかしながら、他社が発行した「活発な市場が存在する暗号資産」を法人が保有する場合、当該暗号資産については引き続き期末時価評価課税の対象となり、事業年度末には含み益に係る法人税の負担が発生する。その結果、Web3 ビジネスに投資する国内投資家は、簿価評価を前提とする海外投資家と比べて著しく不利な競争環境に置かれることとなり、ファンドを通じた投資をはじめとした日本国内の投貸家からのトークン投資が進まず、国内における web3 エコシステムの発展の阻書要因となりかねない。
・なお、トークンについては、平成28年の資金決済法の改正において暗号資産(仮想通貨)が決済手段として位置づけられたことを前提として、会計上、企業会計基準委員会(ASBJ)が平成30年に実務対応報告第 38号によって時価会計の考え方を導入し、それを受けて税制においても、和年度税制改正において期末時価評価課税が導入されたという経緯がある。しかしながら、トークンが主として決済手段として用いられることや投機目的で保有されることを想定していた当時と異なり、今日における web3 ビジネスでは、資金調達やガバナンスを目的とするトークンなど、多様な目的や形態のトークンの発行が見られるところであり、今後もそのような動きはますます加速していくものと思われる。そのようなトークンの活用の実態は、上記のような会計及び税制が前提とした状況と必ずしも一致しないものとなっている。
イ.提言
・スタートアップ支援やブロックチェーンの研究開発を含む♪ web3 ビジネスのエコシステムの発展を支援する観点から、他社が発行するトークンを保有する場合、そのようなトークンのうち短期売買目的でないものを期末時価評価課税の対象から除外し、取得原価で評価する措置を講じるべきである。
・税制上のルールを今日のトークンの実態に合ったものとするためのアプローチとして複数の選択肢が考えられる。第一に、こうした不一致を完全に修正する観点に立ち、資金調達やトークンに係る規律のあり方を正面から捉え、暗号資産の法令上の位置付けを見直した上で、会計及び税制上の取扱いも見直すことが考えられる。その場合には、例えば発行や開示などについて制度堅備が必要となることに留意が必要である。
・第二に、暗号資産の法令上の位置付けの見直しを伴わず、会計及び税制上の取扱いをセットで見直すことを目指す場合には、昨今のトークン発行を巡る実務の進展や態様の多様化を踏まえ、実務対応報告第 38号の今日的妥当性の再検討が必要になるものと考えられる。
・第三に、暗号資産の法令上の位置付けの見直しや会計上の取扱い変更を行うことなく、税制上、期末時価評価課税の対象から他社が発行する一定のトータンを除外することも考えられる。税制上の必要性から税法が会計と異なるルールを設けることは理論的にも許容されると考えられ、実際、税法と会計のルールが一致しないことは他の場面でも見られることである。加えて、暗号資産の期末時価評価について税法と会計のルールが一致しなくても実務上大きな問題は生じないと考えられる。これらの点を踏まえて、わが国のweb3 エコシステムの発展の観点から、税制上、一定のトークンを期末時価評価課税の対象から除外することを積極的に根拠付けることができるか、さらなる検討を早急に深めていくべきである。
・以上のように、他社が発行するトークンを期末時価評価課税の対象から除外するためのアプローチとしては様々なものが考えられるところ、各アプローチに存在する多様な論点や課題を踏まえつつ、早期に提言内容を実現できる最善のアプローチを探求し、今年確実に実現すべきである。
・なお、暗号資産に「活発な市場」が存在しなければ、会計上も税法上も期末時価評価は求められないため、暗号資産取引所への上場等による「活発な市場」の形成がされる前の段階において、トークン発行による資金調達を活用しつつビジネスを安定的かつ健全に成長させる実務上の工夫が考えられないか、関係する業界団体において一定の事業モデルを検討していくことも考えられる。また、暗号資産の期末時価評価については、国税庁が令和5年1月 20日付「法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)」が公表されているところ、「活発な市場」の解釈についても、トータンを利用した資金調達を過度に抑制させることのないよう、柔軟に運用されなければならない。また、この解釈に関して業界団体等の照会がなされる場合には、丁寧に説明を行うなど明確化に努めるべきである。
(2-2) 個人が保有する暗号資産に対する所得課税の見直し
ア.問題の所在
・日本の個人の暗号資産取引に関する課税上の取扱いでは、暗号資産取引から生じた所得は雑所得に該当するとして最高税率(所得税と住民税を合わせて)55%で課税されるなど、諸外国に比べて厳しい扱いとなっており、その結果、納税者の海外流出が増加しているとの指摘がある。
・また現行の税制においては、保有する暗号資産を円やドル等の法定通貨と交換した場合だけでなく、他の暗号資産と交換した場合にも、暗号資産を譲渡したものとして、暗号資産の譲渡に係る損益に対して所得税が課されることになる。しかしながら、暗号資産同士の交換時には法定通貨を取得することはないため、納税者による税務申告促進の妨げになっている。
・自由民主党デジタル社会推進本部の令和4年11月10日付「web3関連税制に関する緊急提言」において、利用者に対する所得課税については、①個人が行う暗号資産の取引により生じた損益について 20%の税率による申告分離課税の対象とすること等を含めた暗号資産の課税のあり方について検討すべき旨に加えて、②暗号資産同士の交換による損益を非課税とする提言を行った。
・上記改正については、いずれも自由民主党及び公明党の和5年度税制改正大綱に盛り込まれず、令和5年度税制改正の対象外とされた。
イ.提言
・ 個人が保有する暗号資産に対する課税については、①暗号資産の取引により生じた損益について 20%の税率による申告分離課税の対象とすること、②暗号資産にかかる損失の所得金額からの繰越控除(翌年以降3年間)を認めること、③暗号資産デリバティブ取引についても、同様に申告分離課税の対象にすることが検討されるべきである。
・また、暗号資産取引に関する損益は、暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすることが検討されるべきである。
・上記の検討にあたっては、諸外国における個人の暗号資産取引に関する課税上の取扱いとの比較検討を行う必要がある。また、上記の取扱いによって納税者の税務申告や国家の税収にどのような影響を与えるかについても検討する必要がある。
まとめ と 感想
- 税制改正は岸田政権では不可能
- 岸田政権は国民のための政治は皆無(怒りのため誇張)
- 暗号資産の税制改正は次期総理大臣次第
増税は早く、減税は限りなく狭く遅くする自民党と公明党の考えは本当にい日本のためになっていない。
特に岸田政権になってから強く感じます。日本のために総理をできるだけ早く交代してほしいと強く願います。